石庭“炎”の紹介

鴻窯会誌の表紙を飾っております石庭“炎”についてご紹介致します。

この庭園は、昭和4年に京都高等工芸学校陶磁器科が創設され、 その後幾度かの学科名の変遷を経ながら、昭和54年に無機材料工学科として、 学科創設50周年を迎えたのを機に、これを記念して鴻窯会から大学側に寄贈されたものです。

作庭は、屋号が「植好」と言われる庭師の岡本万佐一氏によるもので、 作者によりますと、半円形の限られたスペースに、日本庭園配石法で、 前三方に11石(伊豆産の六方石)を火柱に見立てて配石し、ドラセナ、 ヒラドツツジを“炎”に感じて、陶芸の命を描いてみたとの事です。 又、石庭“炎”の石碑は、日展所属の書家、山本幽谷先生の筆によるものです。

石庭の贈呈式と50周年祝賀会は同年5月20日に、隣接の「かんぽーる京都」 にて盛大に行われました。 式では、陶磁器科第1回卒業生で、その時の鴻窯会会長水野茂樹氏より 京都工芸繊維大学吉田徳之助学長に目録を贈呈する事によって石庭の寄贈が行われ、 祝賀会では、学長を始め宇野稔工芸学部長や園城佳逸京都工大会理事長等もご列席戴き、 大盛況の会となったそうです。 尚、当式典では、功労者表彰や記念講演会も開かれ、その後参加者一同が石庭の前に集まり、 現鴻窯会名誉会長の奥田先生の司会の下に、吉田学長と水野会長によるテープカットで石庭開きが 無事に挙行されました事も追記しておきます。

以上、当石庭“炎”に関する資料につきましては、奥田進鴻窯会名誉会長よりご提供戴きました事を申し添えます。